星宙百景 おさらい編 ~2023 山羊座・わたしたちの暮らしと天体の運行から「今」を考える

心理占星術家nicoによる「時期読み百景」。毎月、太陽がサイン移動した瞬間のホロスコープ(イングレスチャート)を分析し、わたしたちの暮らしと天体の運行から「今」を読み解きます。

おさらい編では、先の未来を読み解いた星宙百景の記事をセルフレビュー。

上記の記事でお伝えしたチャート読みの内容と、実際に起こった出来事を nico の視点で振り返るショート・レポートです。

これを書いている今は2024年1月19日。

2024年の幕開けは、あまりに衝撃的だった。余震も含めて、被災地の不安がいまだ続いていること、そして、今なお3万人近い東日本大震災の被災者の方が避難生活を余儀なくされていること、そういった事実が一気に押し寄せ、自分の無関心さに情けなくなる。

実際、自分自身を生きることで精一杯なのだ。おそらく、これは多くの日本人に蔓延した生き様のような気がする。皆一様に、自分たちの暮らしを守ることに必死で人のことを考える余裕がない。思想家の内田樹氏が「日本は昔、貧乏だったが、ビンボウくさくはなかった」と言っていたのもこういうことだろうか。とかく「無関心」が蔓延している。

以下のチャートは、冬至図でもあり、山羊座のイングレスチャートでもある。

蠍座期のおさらいテキストにも書いたように、イングレスチャートは、まずはASCのサインから読むものと相場が決まっている。

そこで、今回もASC牡羊座から考えてみたい。牡羊座は火エレメント。そしてその支配星は、同じく火エレメントの射手座の火星。火・地・風・水と4つの構成要素の始まりを担当する火エレメントの象徴からひとつ考えられるのは、「仕切り直し、新たにスタートを切る」という意識が必要だったということ。大げさに言えば、「生まれ直す」という言い方もできるだろうか。こう書きながら、最初に頭に浮かんできたのは、まさしく今回の岸田首相の動きである。

1/18(木)夜、岸田首相は、自らが会長を務めていた自民党岸田派(宏池政策研究会)の解散を検討している意向を表明した。その翌19日は政治関連のニュース速報が次々に飛び込んできた。

東京地検特捜部が安倍派、二階派、岸田派の会計責任者らを虚偽記載の罪で提訴し、二階元幹事長が二階派を解散する方針を表明、そして夜には自民党最大派閥である安倍派が解散を決定したとの報道があった。

こちらは、その19日夜のチャートである。占星術を少しでもかじった人なら、このチャートのもっとも重要な配置として、山羊座の最後の度数で形成されている太陽と冥王星のコンジャンクションをあげるだろう。

ここで特徴的なのは、太陽が冥王星よりも手前の度数にいることだ。つまり、冥王星との正確な合が形成される前に実際の物事が起きていることになる。岸田首相による発表が18日夜だったということは、タイトなアスペクトが形成される前から話し合いや調整があったに違いない。

これは、占星術を使ったスケジュールリングをするなら、アスペクトが正確に形成される以前に動き出す必要があることを示している。(なぜ、こんなことをくどくど書いているのか。それは占い師によっては、この日にアスペクトができますよーと、正確になった日に動きを始めるように促すが、私は基本的に10度~15度ほど前に動くことを勧めている)

または、金星、海王星のパータイル(小数点以下切り捨てた際、ちょうど度数がぴったりになる)の90度もこのチャートの象徴的な天体配置といえるだろう。

ということで、おさらい編としては、まず岸田首相は、山羊座期の最後の最後で、このような内乱?変革?を決起した。そこに2つのテーマを見ることができる。

火エレメントの「仕切り直し、新たにスタートを切る」「生まれ変わる」というテーマ――本当に生まれ変わるとは思えないが、少なくとも表面的には)そういった動きがあった。

そして山羊座太陽・冥王星的テーマ――既存の権力構造=冥王星に対し、岸田政権=太陽は何かしらの未来の可能性に賭けようとしたのだろうか。または、この構造を未来までもっていくことが難しいと判断し、既存の価値を切り捨て、新しい価値の創造をしようと思い立ったのだろうか(といっても、派閥を解散したところで、自民党の構造が変わるとは思えないし、また派閥に助けられた人が派閥を切り捨てることでどのような影響が出るのか、出ないのか。これからの流れに注目したい)。

松本人志の芸能界における権力構造もこれと同じかもしれない。性加害の有無を含め、不自然な権力にほころびが生まれる時期だと読むことができるだろう(むしろ、歌舞伎、宝塚、ジャニーズときて、吉本が芸能界の最後の解体となるのかどうか。冥王星はもう一度、山羊座入りするのでそこでの動きも注目だ)

また、2023―2024年の太陽・山羊座期のトピックをもうひとつ。
1/9(火)以降、日経平均株価がバブル後の最高値を更新するなど活況に沸き、その勢いは今も続いている。年明けから新NISAが開始され、今後、国内の投資家が増えていくという予測から、それに先駆けて外国人投資家のマネーが1兆2000億円ほど流入したことが大きく影響している様子だ。世界的にも株価が高値を更新していることに加え、また2024年はグローバル企業を中心に大規模な賃上げが期待されていることから、今回の株価上昇は、まさに「期待先行」による株価上昇と考えられる。

この「期待先行」というのが、火エレメントのもう一つの特徴となるだろう。または射手座・金星と魚座・海王星の組み合わせから、バブル的な特徴もうかがえる。専門家たちは、これはバブルではなく長期的に続く現象であると言っているが、天体の配置からはやはりバブルな印象と読まざるを得ない。実を伴っているかどうか=地エレメントではなく、まずは希望的観測でもいいから夢が見たい、何はともあれ明るい材料が必要だ、そんな印象がチャートから読み取れるのだ。

ない袖は振れない。けれど、ない袖すら振らないと人材は離れていってしまう。人手不足による倒産は、2023年の倒産件数・前年比86%増で、今後も増える一方だと考えられている。

ない袖は振れない。けれど、日本が自信を回復するためには、たとえ「期待先行」であったとしても、何か明るい話が必要なのかもしれない。

ー日本車の製造を加速させれば、半導体さえあれば、ものづくり日本の力を盛り戻せるかもしれない…
ー株価がバブル期の水準に戻れば、経済成長も見込まれ、個人消費ももっと増えるかもしれない…
ーたとえ復興に必要な金が大阪万博に使われても、1970年の夢さえ見れれば日本は再び活気づくかもしれない…

何か一抹の不安が残る。私たちは目先の銭金に飛びついてしまっていないだろうか?

この他、ダイハツの立て直しへの道のりなども火エレメントの象徴と結びつくかもしれないが、ひとまず火エレメントの強調として、二つのニュースをピックアップしてみた。これらは引き続き、さらなる考察が必要そうだ。

この山羊座期、私たちは国/企業/個人の火エレメントについてどのくらい意識できたのだろうか。未来に向けて、不必要を切り捨て(解散させ)、必要な分だけ投資をし、未来に明るい目標を打ちたてることができたのか。それを補完するための地エレメント=I haveは、どのくらい意識できただろうか。

5%の賃上げをしないと人手不足倒産する。そういった恐怖に対し、自分たちはどう対抗することができるのだろうか。