
アポロンの竪琴
2025 天秤座~川久保玲
あらゆる二元論を超越した世界
純粋なクリエイションと真の自由の達成
著名人の言葉から12の太陽サインの生きざまを考えてきた「今月の言葉」がリニューアル!
自分の理想=太陽を生きるためには、何が必要なのだろう。
水星神ヘルメスが発明した太陽神アポロンの竪琴の神話をご存じですか。太陽の理想や意図は、水星という竪琴=言葉があるからこそ美しい音色を奏でることができるもの。太陽の言葉=アポロンの竪琴のメッセージに耳を澄ませてみてください。
あなたの生き方、働き方のヒントを受け取ることができるかもしれません。
心理占星術家nicoが選んだ今月の竪琴
天秤座・太陽の言葉は…

Photograph by Eiichiro Sakata:画像は「THE NEWYOKER 100」よりお借りしています。
純粋なクリエイション、真の自由というものは、あらゆる二元論、左と右、リアルとアンリアル、男と女などを超越したときに達成されるのだと思います。
雑誌SWITCH Vol.38 No.3 『特集 コム デ ギャルソン オーランドー』より
天秤座の言葉
川久保 玲(かわくぼ・れい)
1942年10月11日、東京都生まれ。天秤座に太陽、水星、金星、火星、海王星を持つ。
ファッションデザイナー。
「コム・デ・ギャルソン」の創業者で、株式会社コム・デ・ギャルソン代表取締役社長。慶應義塾大学卒業後、フリーランスのスタイリストを経てブランドを立ち上げた。1981年のパリコレクションで、黒を基調とした斬新な服のデザインを発表し「黒の衝撃」と呼ばれ、世界的なファッションデザイナーとして地位を確立した。
川久保玲の言葉を最初に使ったのは、2024年12月24日に開催した月イチ勉強会「冬至図読みの巻」でだった。勉強会の詳細は、こちらの記事で紹介している。
この1ハウス、7ハウスが強調されているのは、社会や自分たちの暮らしや生き方を考える上で、天秤座的なテーマが出てくるだろうと思います。そして、次の春分のアセンダントも天秤座。つまり、この3ヶ月間は、次の春分で惑わされないためには、牡牛座的、金星の感受性を作っておくというのは、とても大事なことだと思います。
そこで、皆さんに天秤座の完成を根こそぎ変えてもらうために、川久保玲さん(コム・デ・ギャルソンのデザイナーであり実業家)の言葉を紹介します。彼女は、個人天体の太陽・水星・金星・火星、すべてが天秤座。まさに、THE 天秤座の人です。
『私が仕事をするときは、与えられた場所とか結果とか、人に合わせるとか、そういうことは一切考えません。自分の内だけのことを考えて作ります。それが結果として偶然のようにいろいろな事象と絡み合って表現となるんです。』
世の中の大体の天秤座は、「人に合わせる」「調和・バランス」といわれているようですけど、彼女のキーワードは反骨精神と不協和音です。世の中の空気とは違う自分の空気を信じていくことを大事にしている。
「6」という完全調和の乙女座の世界から、「7」の天秤座は素数としての不協和音を作っていく。それがわたしたちが目指したい天秤座の姿なんです。
冬至のテーマとして付け加えるなら、自分の内なる金星のことだけ考えてやっていけば、結果として偶然がやってくる。これが素数の目標かな。
星宙百景 2024 冬至図~ 時代のアイコンから何が見出せるのか、2025年以降に欠かせない感性・金星と天王星
この日以降、天秤座の象徴を紹介する際は、ことあるごとに川久保玲の言葉を紹介した。
こちらを読む皆さんも、ぜひこの言葉を声に出して読み、自分の身体に沁み込ませてみてほしい。なぜなら、他者や社会へと一歩足を踏み出すためには、川久保玲の言う振る舞いや態度がかなり有効に働くからだ。
どういうことか。
天秤座=金星=7ハウスとは、他者とのファーストコンタクト、社会へと出発するための足掛かりのサインとなっている。つまり、天秤座を経ることなしには、他者=社会との接触は不可能であることがわかる。

その際、同じ支配星を持つ牡牛座=金星の陰サイン、不動サイン的な気質――わたしの内なる世界を信じ、それを価値基準として生きること――を腹の中心にしっかりと据えておく必要があるのだ。
人の目も、人の評価も気にしない。自分の内的な絶対的基準。それが備わっているからこそ、このあと誰にどのような刺激を受けようが「自分は自分でいられる」という感覚を維持することができるのだ。
けれど、それだけでは天秤座=金星の目指す姿ではない。「自分の内だけのことを考えて」自分を存在させることができた後、天秤座は「あらゆる二元論、左と右、リアルとアンリアル、男と女などを超越した」存在を目指していくことになるのだ。
それが7番目のタロットカード「Ⅶ戦車」の白と黒のスフィンクスということになる。

「現実」を求めすぎると「非現実」が何かしらの暴走をはじめ、「女」であり過ぎると、わたしの中の「男」が何かしらの暴走をはじめる。
自分の内にある黒と白、陰と陽をそこにあるものとして存在させること。それでこそ、「真の自由として」戦車を思った方向に走らせることができるのだ。
ということで、天秤座で意識したいことは2つ。。
どんなシチュエーションに立ち会っても、つまり、どのような人を前にしても、どのような体験を前にしても、まずは「与えられた場所とか結果とか、人に合わせるとか、そういうことは一切考え」ず、「自分の内だけのことを考え」ること。
そのように自分の中心が定まったところで、もう少し奥にある自分の中のアンビバレントな二つの欲求に注目する。
たとえば、真面目さ――不真面目さ、目立ちたがり屋――恥ずかしがり屋、優しさ――冷たさ、そういった自分の中の扱いづらい両極を自分の中に認識し、二つの極を楽しみ、愛でること。
そのアンビバレントなエネルギーを活力にすることでこそ、「わたし」という存在が自由に解き放たれていくのだ。
これこそ、まさに活動サイン、風エレメントの在り方なのではないだろうか。
天秤座期、あなたの内をどのくらい大切にすることができるだろうか。そして、あなたの内にどのような極を見つけることができ、どうバランスを取りながら、自分を楽しむことができるだろうか。
みなさんの天秤座体験を応援しています。