アポロンの竪琴
2024 牡羊座┃上原ひろみ
一日一日をどう生きるか、この世に生まれてきた自分をどう有限化していくか
自分の理想=太陽を生きるためには、何が必要なのだろう。
著名人の言葉から12の太陽サインの生き方を考える「アポロンの竪琴」。
水星神ヘルメスが発明した太陽神アポロンの竪琴の神話をご存じですか。太陽の理想や意図は、水星という竪琴=言葉があるからこそ美しい音色を奏でることができるもの。太陽の言葉=アポロンの竪琴のメッセージに耳を澄ませてみてください。
あなたの生き方、働き方のヒントを受け取ることができるかもしれません。
心理占星術家nicoが選んだ今月の竪琴
牡羊座・太陽の言葉は…
上原: 私は逆算するのがすごく好きなんです。最終目標だけでなく、何かにぶつかった時は、どうしたらそれを乗り越えられるかも逆算します。今何をしているべきなのか、来週は何をすべきなのか、一ヶ月後、一年後というスパンで逆算をして考えるようにしています。
2019年10月3日『telling,』インタビューより
――ご自身のことを順序立てて、頭の中で整理できているんですね。
上原: すごく極端なところがありますが、緻密に計算しています。例えば、一日のスケジュールは、無駄のないように15分単位で考えるのが好きです。きちっとしたいところと考えても仕方のないことははっきり分けて考えています。
――考えても仕方がないことは、例えば何ですか。
上原: 自分の力が及ばないことですね。人を変えるとか。仕事仲間でも友達でも、私の考えとどうしても合わない時は、その人を変えようと思うよりは、自分が変わった方が早いですよね。。
牡羊座の言葉
上原ひろみ(うえはら・ひろみ)
1979年3月26日、静岡県浜松市生まれ。太陽と水星を牡羊座に持つ。
ジャズピアニスト。
6歳からピアノを始め、ヤマハ音楽教室で作曲を学ぶ。17歳でチック・コリアと共演し、1999年にボストンのバークリー音楽院に入学。在学中にジャズの名門、テラーク・レコードと契約し、2003年にアルバム『Another Mind』で世界デビュー。2015年には日本人アーティストでは唯一となるニューヨーク・ブルーノートでの11年連続公演を成功させた。。
心理占星術研究家と名乗るようになって久しいが、自分なりに真摯に研究を重ねていると、既存の象徴解釈では生きた人間の生きたエネルギーを補いきれないという、物足りなさを感じることがある。特に12サインの象徴解釈が、そのサインの前向きな可能性ではなく、後ろ向きの欠点として表現されていることが多いように思う。
今回の牡羊座の表現の中には、「見切り発車」「衝動的」「やったらやりっぱなし」「飽きっぽい」という言葉が並ぶが、実際、牡羊座の太陽を持った人物は、そうでない生き様を示すことも多く、この辺の印象をどう書き換えることができるのか、いつも考えあぐねてしまう。
私は火星サイクルを使い、その人のwell-beingな生き方をサポートする活動を行っている。火星は、牡羊座の支配星であることから、このサインについてかなりまじめに考え続けている。牡羊座は、もちろん12サインの始まりのサインであり、よって火星は原初のエネルギーの元になっていると考える。
それによるものなのだろうか。先ほどお伝えしたような「衝動的」とか「見切り発車的」といった言葉を目にすることが多い。しかし、真剣に牡羊座を生きている人たちからは、そのような印象を受けることは少ない。それよりも、もっと慎重に自分の人生を組み立てていることが多いのだ。
今回の上原ひろみの言葉「緻密に計算しています。例えば、一日のスケジュールは、無駄のないように15分単位で考えるのが好きです」からもそれが十分伝わってくる。
例えば、2022年牡羊座期の「アポロンの竪琴」で紹介した坂口恭平なども、著書『自分の薬をつくる』の中でも、自分がうまく生きれないという相談者に対して、一日のスケジュールをつくり、それを丁寧に実践するという方法を推奨している。
たとえば、このようなコメントを添え、かなり詳細なタイムテーブルを作成している。
今年も昨年完成させた僕のパーフェクトルーティンを継続していこうと思ってます。今のところ、修正点見つからず。こんな日課は人生初。みなさんも日課の質をあげると大変なことになるからぜひー。おすすめです。金かからんし。
『自分の薬をつくる』坂口恭平・著
実は、『火星サイクル手帳2022-2024』の牡羊座期のイングレスチャートのテキストにもこのようなことを提案していた。
ともすれば大きすぎるビジョンを細分化し、毎日の繰り返しの中でできることを考える、そこからはじめるといいでしょう。
『火星サイクル手帳2022-2024』心理占星術家nico・著
それが最初のサインである牡羊座に対応したタロットカード「Ⅰ魔術師」に描かれた「四角形のテーブル」という境界線が意味するところです。
机に載せられる量は限られています。自分の力量を超えた活動はできないし、できたとしても、おそらく2年を待つことなくその活動を手放してしまうでしょう。
なぜなら、多くの人は自分の力量がわからず、また手に入れたいもののイメージが大きすぎたり、小さすぎたりして、結局、その大きさに圧倒されるか、小さすぎてやる気を失うかして、はじめる前からやめてしまう、はじめることなく夢想で終わってしまうのです。
次回、2024年5月1日からスタートする火星サイクル手帳にも同じようなことを書いた。牡羊座というサインは、何はともあれ「ビジョンを細分化し、できることからはじめる」それがもっとも大事だと私自身、考えるに至った。
上原ひろみの演奏は、「生きるということは、なんと素晴らしいことなのだろう」という躍動や情熱を引き出す。彼女の演奏を見ていると居ても立っても居られなくなるというか、「ああ、私も生きなくては」「ああ、私も自分を楽しまなくては」という思いに駆られる。まさに今まさに生まれつつある音をつかみ、弾き、奏でる、純粋な音の解放がそこにある。
もちろん、こういった表現も牡羊座の一部ではあるのだけれど、こういった牡羊座の表現を支えている生き様は、一日一日を大切に生きる姿勢が支えているのだ。だから、ただ「弾けるような音を奏でる」という意味合いだけが、牡羊座を表現するわけではない。
だから、私は牡羊座や火星を「衝動的な」という言葉で片づけたくない。それよりも、一日一日をどう生きるか。この世に生まれてきた自分をどう有限化し、どう生命を形づくり、自分を生かしていくか、そちらの「生きる」ということに意味があるように思うのだ。
皆さんも、2024年の牡羊座期は、ぜひ一日の過ごし方を大真面目に考えてみてほしい。自分の時間を大切に生きることは、まさに自分の「生」を大切に生きることに他ならない。その姿勢の中から、上原ひろみのような純粋な音が、つまり自分らしい音を生み出すことができるのではないだろうか。
火星をもっと知りたい、もっとうまく使いたいと思ったら、ぜひ5月1日からスタートする火星サイクル手帳2024を手に取っていただけたら幸いである。